馬の状態
気配
馬の動き、仕上がり度合や、気合いが入っているかどうかなど、あらゆる面を総合して観察した雰囲気。
焦れ込む(いれこむ)
レース前に極度に興奮し、落ち着かない様子。
ひどい発汗をしたり口から泡を出したりする。
その時点でかなり体力を消耗するのでレースでは能力を出しきれない場合が多い。
外枠発走(そとわくはっそう)
ゲートの当該枠が破損等で使用できなくなった場合や、ゲート内で暴れる癖があって他馬に影響を及ぼすと認められた馬を出走馬の一番外側にまわして発走させること。
歯がわり
馬の歯が抜け替わること。早熟なものは2歳の暮れごろから始まるが、大部分は3歳の春先に始まる。人間の場合と同じで、痛みのため食欲がなくなり、体調も下降気味になりがちになるので、クラシックシーズンの勝負のポイントになることさえある。
馬齢(ばれい)
馬の年齢のこと。
従来、競馬で3歳や4歳などという馬の年齢はわが国では数え年で数えられていた。
昔は生年月日があきらかでないのが多く歯のすり減りの状態によって判別されたが、現在は生年月日があきらかになっているので、その生まれ年によって数えられている。
2001年度から、JRAが推進する国際化政策の一環として、馬齢表記を数え年から満年齢に変更した。
これは、馬齢表記について諸外国で採用されている満年齢表記に統一するためのもので、生まれた年を0歳と数え、その馬が生まれた年の1月1日から年齢を起算する。
馬の動き
二走ボケ(にそうぼけ)
休養明けを好走して人気になった馬が、二走めで凡走すること。
ふくれる
コーナーで外側によれるように、大回りしてしまうこと。
逸走(いっそう)
文字どおり馬が走路から大きくはずれて走路外に疾走してしまうこと。
競走を続行するためには、逸走し始めた地点に引き返してからにしなければならない。
返し馬(かえしうま)
パドックから本馬場に入場してきた馬が、発走時刻まで馬場のあちこちに散ってする足ならしのこと。いわば馬のウォーミングアップ。
輪乗り
ゲートの後方に集合した各馬が、枠入りの合図がかかるまで輪を描くように歩きながら待機すること。
蹉跌(さてつ)
つまずくこと。
あおる
ゲート内で立ちあがった時、あるいは開いた瞬間に前肢をあげて発走すること。
スタートで後手を踏むわけで、不利となる。
よれる
直線で急激に内または外に斜行すること。
「ささる」、「ふくれる」はどちらかというと気性的問題とされているのに対し、「よれる」という言葉は、一杯になって脚どりがしっかりしなくなった時に使われる場合が多い。
端をきる(はなをきる)
単独で先頭に立って逃げること。
「逃げ馬は端をきれないとモロい」などという。
馬と騎手
息をいれる
主に逃げ馬に対して使われる言葉で、道中ペースを落としてラストスパートのためのスタミナを温存すること。
逃げ切るためには重要な要素で、騎手の腕によるところが大きい。
折り合い
騎手と馬の呼吸の調和状態のこと。
人馬の呼吸がうまく合致しているときには、「ピタリと折り合う」などという。
またこれに対して呼吸が合わず、ちぐはぐな状態は「かかる」という。
叩く
ふたつ意味があり、ひとつはレース中気合を入れるために馬にムチを入れること。
もうひとつは休み明けにレースを使うときに使うが、この場合、仕上がり途上のときに用いることが多い。
「休み明けを一度たたく」といったように使われる。
ためる
「足をためる」などと使われる。
レースの途中でペースを落としてスタミナを温存すること。
出ムチ
「出ムチをくれる」といい、最初のダッシュがにぶい馬に対して、あるいはどうしても先行したいときに、スタート直後からムチを使って気合いをつけること。
見せ鞭
気性が悪く、実際に鞭で叩くと逆に走る気をなくす馬に対して、目先で鞭をちらつかせることだけにとどめて走る気をうながすこと。また素直な馬でも急に叩くとよれたりする可能性があるので、これから叩く旨を馬に予告する意味で行う場合もある。
軽速歩(けいはやあし)
速歩のとき騎手が馬の動きに合わせて鐙に立つ、鞍に座る、を繰り返すことをいう。速歩の反撞による人馬への負担を低減するための技術。
ささる
レースや調教中に突然内に斜行すること。
鞭を入れるとそうなる場合が多い。
これに対して外に斜行するのは「ふくれる」という。
両者とも気性の悪い馬や若駒に多く見られる。
斜行
競走中、馬が斜めに走ること。
騎手が注意義務を怠ったものと認められ、他馬の走行に影響を及ぼした場合には制裁を科される。
仕掛ける
レース中、いよいよ勝負どころと判断した騎手が、馬に気合を入れてスパートすること。「仕掛けるのが早かった」などという。また調教では、馬なりでまわってきてゴール前で軽く気合をつけることを、仕掛けるという。
騎手について
落鉄(らくてつ)
蹄鉄が外れ落ちること。
落馬
レース中、馬がつまずいたり転倒したりして、騎手が馬から落ちてしまうこと。
騎坐変(きざへん)
落馬の原因のひとつ。
馬が障害で着地に失敗したり、つまずいた拍子に鐙が外れたりして騎手がバランスをくずすこと。
モンキー乗り
鐙〔あぶみ〕を短くして、膝を前に出し、尻を鞍から離し、前傾姿勢で追う騎乗フォーム。
木の枝にモンキー(猿)がまたがったように見えるところからこう呼ばれる。
1890年代にアメリカのトッド・スローン騎手が考案したものだが、日本で一般化したのは戦後になってからである。
それまでは「天神乗り」(長い鐙で尻を鞍につけて上体を起こす乗り方)が主流だった。
帽色
騎手がレースの際かぶるヘルメットの色のこと。それぞれ1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃と決められている。
貸服(かしふく)
出走馬の馬主が登録した服色(勝負服)を何らかの事情でレース当日に準備できなかった場合や、馬主が服色を登録していない場合に、日本中央競馬会が一時的に貸す服色のこと。
色は帽色と同じ色を地色に使用している。
なお、中央競馬指定交流競走に馬を出走させる地方競馬の馬主が中央に馬主登録のない場合は、「交流服」と呼ばれる専用の貸服が使用される。